『リミッツ・オブ・コントロール』何も起こらない映画

日曜に観た『リミッツ・オブ・コントロール』(ジム・ジャームッシュ監督)。
渋谷シネマライズのレイトショーで1000円。

以下、若干ネタバレ。


何か起こるのをしんぼう強く待っていたが、最後まで何も起こらないという凄い映画。
(実際は起きているのだが、とくに感慨は起こらないほど、内容的には意味を無していない)

宣伝の仕方によって(上の予告編参照・こう観るともの凄くおもしろそうな気がするから凄い・笑)
観客の大半が、オールスターキャスト総登場の「『バベル』みたいな感じ」を求めているだろうにも関わらず見終わってみたら完全にアートフィルムだった。(撮影はこういう系のスペシャリスト・クリストファー・ドイル

物語は「ある殺し屋がざっくりした指令を各地で受けながら、ある男を探し殺しに行く」というものだが、一切の動機や説明を省いた、シンプルで淡白で独りよがりのハードボイルドに仕上がっている。


ジム・ジャームッシュ節」と言えばそれまでかもしれないが、
それにしても見事なほど何も起こらないので、
淡々とした電車移動のシーンとか、ホテルの階段のデザインとかでわくわくする(しかない)。
あと、主人公がカフェで何度もエスプレッソを二杯頼むシーン、その店員とのほのぼのとしたやりとりとか。

で、そういうのがホントに最大の見せ場だから凄い(笑)。
そして、二度ぐっすり寝てしまうほどの催眠効果も兼ね備えている。


日本人注目の工藤夕貴の出番も恐ろしいほど意味が無い。


「こんなんでいいのか?」と思ったが、
じつは、映画のテイストは、最初から最後までブレていない。
監督の狙いは終始一貫しているし芯が通っているので、不思議と腹は立たない。


最後まで意味はわからなかったが、
「意味なんて何もない」としか取れないラストシーンは、なかなか潔かった。